「unstable world」

ヨハネの堕天使としての一日は最近、たくさんのリトルデーモンたちのおかげでとっても充実しているわ。ぜったいに普段はそんなこと言わないけど。今日も一日、頑張らなくちゃ。

「おはよう、ヨハネちゃん!」教室に行くとすぐ花丸に会った。「だからヨハネ…ってあれ?」「なんずらか?変な堕天使ずらねぇ、ねぇルビィちゃん」花丸が少し離れて聞いていたルビィに声をかける。
「そうだよヨハネちゃん、それじゃあ魔力を失って善子ちゃんに戻っちゃうよ?そんなのリトルデーモン4号としては悲しいなぁ」ルビィは笑いながらそんなことを言う。「クックックッ、リトルデーモンの割に随分と言ってくれる!いいわ、この堕天使の力、再び見せつけてあげ「朝から張り切ってるずらねぇヨ、ハ、ネ、ちゃんは」「ちょっと、ちゃんと聞きなさいよ!」
こんな風なやり取りも、なんだか悪くないって思える自分がいる。ちょっと前までは堕天使であることにこだわって友達なんて浮世の戯れのように思っていたのに、不思議なものね。

今日の授業中はとても教師の視線が気になった。もしかして隠して持ってきている悪魔の書と水晶がバレたかな?母もそうだけど、どうして学校の教師ってあんなに変なところに鋭いのかしらね。現世の掟に縛られては羽が伸ばせないというのに。
まあいいわ、ヨハネの悪魔的構想でも練りながら時間が過ぎるのを待ちましょう。あぁ、羽がはためく音が聞こえてくるようだわ!今、私の意識は完全にヨハネのものね。

放課後は黄昏の理解者たるAqoursの活動に勤しむ。今日はまず果南とストレッチをしたわね。「善子ちゃん、ストレッチやるよ」「わかったわ、で、でもあんまり痛くしないでね…?」「それはヨハネちゃんの頑張り次第だよ?」「頑張りってなに?あー!!!」

ヨハネさん、そこの所ステップがズレていますわよ、千歌さんも!」ダイヤが指摘してくる。「わっ、ほんとだ!ここ難しいんだもーん、ね、善子ちゃん!」「え、ええ、そうね…。しかしこのヨハネの魔力をもってすればこのくらい……!」
それでもう一回やってみても今度は鞠莉に、「ヨーシーコー?まーたズレてるわよー?」なーんて言われちゃうから悔しさと今度こそやってやろうって気にもなるわ。ヨハネがこんなに夢中になれることがあるなんて思いもしなかったわね。

「あはは!でも善子ちゃんも頑張らないとね!梨子ちゃんもすっごい曲、ヨハネちゃんのために作ってくれてるらしいし!」曜がそんなことを言う。「そんなにハードル上げないの!でも、きっといい曲にしてみせる」そんな梨子の気持ちが嬉しくて、ついからかってしまう。「さっすが我と上級契約を交わしたリトルデーモン、リリーね!我を輝かせる音色、楽しみにしているわ!」「だーれがリリーよ!!」

そんな風にまた1日が過ぎていく。この不安定で退屈な世界、いや、「だった」世界。私はみんなと出会えて変えることができたのかな?できるのかな?